BOOK LIFE

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読書を継続させる本選びのコツ

 読書をするとき、皆さんはどのようにして読みたい本を探しているでしょうか。初めのうちは書店に出向いて最初の数ページを読んだり解説を読んだりして、どの本が自分の興味・関心にあっているかを確認して購入する本を探しているかもしれません。

 ただ読書量が増えていくと、そうして一から読みたい本を探していてはなかなか次に読む本を確保し切れなくなってしまうものです。次に読む本をうまく探せないと、せっかく習慣づいた読書もどこかで途切れてしまうこともあります。

 私はだいたい三通りのやり方で次に読む本を購入しています。

本の中に登場する本

 一つは、読んでいる本の中に登場する本を読むこと。本の中に別の本が登場するというのは研究書などの専門的なジャンルの本であればよくあることですが、実は小説の中でも別の本が登場することは少なくありません。例えばひと昔前、2020年の現代はもう存在しない日本の文豪たちの小説を読んでいると、西洋の作家の名前が頻繁に登場します。ドストエフスキースタンダールフローベール、ポー、哲学からもニーチェサルトルなど有名な世界の文豪です。ちなみに、私がこれまで読んだ本の中で最も登場する回数が多かったのはセルバンテスの『ドン・キホーテ』ではないかと思っています。もちろん数えているわけではないので、あくまでも印象です。

ドン・キホーテ 全6冊 (岩波文庫)

ドン・キホーテ 全6冊 (岩波文庫)

 当然昔の作家たちが読んでいた本は、その作家たちよりも一昔前の作家たちが多くなります。これは時代が変わっても同じことが言えます。現代の作家の本を読んでいると、西洋の作家たちを小説の中で挙げていた一昔前の作家たちの名前や著作が登場します。その中には既に自分が読んだ作品もあれば、読んでいない作品や作家も出てきます。読める量には限度があるのでその全てを読めるわけではありませんが、その中で気になったものを順々に読むうちに自分の読書の守備範囲が広がり、さまざまな角度から読書を楽しめるようになります。

同じ作家やテーマにこだわる

 もう一つの方法は、気になった作家やテーマの本を何冊も続けて読むことです。これは読書好きの人なら自然にやっている人も少なくないと思います。本の中に登場する本を読むのが“横”に広げる方法だとすれば、特定の作家やテーマの本を続けて読むのは“縦”の方向です。深さといってもいいかもしれません。その作家が長く作家として活動している人であれば、作風の変化に気づくこともあります。

世界の文学賞

 もう一つの方法は文学賞を受賞した、あるいはノミネートされたタイトルの中から気になる本を読むことです。これは特に海外の作品を探す上で役に立ちます。国内の本であれば何かしらテレビやインターネット上で話題になっている、あるいは文芸誌などで取り上げられているなど、作品を探す機会はところどころに落ちています。しかし海外の本の話は国内のものほどは入ってきません。イギリスの「ブッカー賞」やイスラエルの「エルサレム賞」、アメリカの「ピューリッツァー賞」などを受賞した中から選ぶと、読み応えのある作品に出会うことができます。過去にブッカー賞を受賞しているイアン・マキューアンジュリアン・バーンズマーガレット・アトウッドなどは小説好きの人たちの間ではお馴染みの作家名なのではないでしょうか。

アムステルダム (新潮文庫)

アムステルダム (新潮文庫)

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)